ポケトーク株式会社

ポケトークを設置し"体験"を提供。
認知から理解・購買まで、カスタマー
ジャーニーを実現した施策とは。

ポケトーク株式会社
取締役兼CMO 若山幹晴様
ポケトークタクシー概要

期間    |2023年4月3日(月)〜4月30日(日)
台数    |100台(大和自動車交通・国際自動車が保有するCanvas搭載車両)
対象エリア |東京都内23区・武蔵野・三鷹地区
配車アプリ |S.RIDE

訪日外国人の増加とともに、移動手段としてタクシーの利用も増えています。それに伴い、タクシー車内での多言語への対応が急務となる中「ポケトークタクシー」は、特に需要の多い都心部を走行するタクシー(大和自動車交通・国際自動車が保有するCanvas搭載車両)計100台に、AI通訳機「ポケトーク」を設置。 乗務員と外国人の乗客がポケトーク端末を使って、対面で円滑なコミュニケーションを実現し、日本での滞在をよりよいものにすることを目指しました。

車内に設置されたサイネージでは、「ポケトーク」の製品情報も視聴でき、画面に表示されたQRコードから本製品をご購入いただくことも可能です。加えて「ポケトークタクシー」を配車する際のアプリ画面には、「ポケトーク」のアンバサダーである明石家さんまさんが登場し、車窓にはさんまさんのイメージ画像も投影しました。

簡単な自己紹介をお願いできますでしょうか。

ポケトーク株式会社 取締役兼CMOの若山と申します。「ポケトーク(POCKETALK)」は、互いの言語を話せない人同士が自国語のままで対話できるAI通訳機です。73言語を音声・テキストに翻訳し、11言語をテキストのみに翻訳できます。クラウド上の最新最適なエンジンとAIを使った翻訳精度の高さが特長で、長い文章も訳せます。Wi-Fiのない所でも世界130以上の国と地域(「ポケトーク S」:141の国と地域、「ポケトーク W」:139の国と地域)で、そのまま使えるモバイル通信機能を内蔵し「契約不要、通信料なし(2年間)」で、買ってすぐ使えます。「ポケトーク」シリーズ(初代、「ポケトーク W」、「ポケトーク S」および「ポケトーク S Plus」を含む)の累計出荷台数(サンプル等除く)は、2017年12月の発売以来、2022年12月時点で100万台を突破しました。

「ポケトークタクシー」に関して実施に至った理由に関して教えていただけますか。

まず1点目に一般的なタクシー広告は乗車された方が対象ですが、「Canvas」に関しては街ゆく人がターゲットであり、どれだけ効果があるのか非常に興味がありました。「ポケトーク」の印象的なブランドカラーとクリエイティブが窓ガラスに登場すると、歩行者の目を引き認知に繋がるのではないかと思い、今回トライさせていただきました。

2点目は、車内で「ポケトーク」の実機設置ができるという点です。今回タクシー車内に「ポケトーク S」を設置させていただきましたが、タクシーというプライベートな空間でお客様に「ポケトーク」を体験していただけるという点が非常に魅力的でした。

実際に「ポケトーク」は2017年から販売しているのですが、当時からスマートフォンなどの翻訳無料アプリがある中で、翻訳に特化した専用端末がどのくらい需要があるのかというお声をいただいていました。
実際に使っていただくと分かるのですが、専用機として翻訳に特化していることから、タクシー車内や駅のホーム、街中など騒音環境下でもノイズキャンセリング機能により、翻訳の精度と音声認識のクオリティを担保することができます。
ただそのような製品のクオリティに関しては、実際に使用いただくことで精度を実感していただくことが重要だと考えています。実際に試していただくと「スマートフォン用アプリと全然違う」と言っていただけるので、「ポケトーク」の精度を理解してもらうためには、いかに”体験”が重要かが分かります。今回の取り組みに関しては、広告訴求と併せて実際に「ポケトーク」を触っていただけるということが非常によかったと思っています。

▼「ポケトーク S」設置イメージ

また体験する際も、相手のいない環境で練習のように使用するのと、乗務員さんと実際に会話をしながら試すのとで、やはり体験や印象が変わってくると思います。
多くのかたも経験があると思うのですが、海外でタクシーに乗った際に本当に目的地に向かっているのか、メーターが回っているのか不安になることがありますよね。
そこで少なからず「言語の壁」があると思うのですが、今回も海外の方が乗務員さんとコミュニケーションに「ポケトーク」を使用していただけたということで、タクシーは商品を体験してもらう環境とシチュエーションが非常に良いと感じていました。

3点目は、我々としてはターゲットが日本人・海外の方両方になるのですが、タクシーは訪日外国人の利用も増加しているということで、両方の層に訴求できる点が非常に魅力的でした。

今回の取り組みにおける狙いやKPIを教えていただけますか。

弊社としても新しい取り組みで試験的なアプローチでもあったので、KPIに固執はしておりませんでしたが、広告面としてはPV数・リーチ数をみるようにしており、体験の良し悪しを図る一つの指標としては、どれだけ購買に繋がったかをみるようにしていました。結果タブレットに設置した購買用のQRコードから「ポケトーク S」が複数台売れましたが、我々としてもこの結果は予想外でした。タクシーで良い体験を提供できたからこそ、その場で購買が発生したのだと思います。

▼右バナーより購入画面に遷移

「ポケトークタクシー」効果・反響

【定量効果】
車内における購入件数 |8件(「ポケトーク S」価格 33,780円)
放映回数       |約35,000IMP
※通常の広告放映と比較し、Canvas車両では約3倍のサイドバナータップ数が確認できた。

【乗務員アンケート調査結果】
・アンケートに回答した乗務員の7割の方が、実際に乗客がポケトークを使用していたと回答
乗客の半数が乗務員に実際にポケトークに関して質問をするなど興味・関心を高めることができた
乗客の9割以上が体験に対してポジティブな反応であった
ポケトークを使用した乗客のうち10%が外国人、使用した外国人のうち10%の方が乗務員との会話に活用。97%の乗務員が外国人の乗客が増えていると回答

上記の結果を踏まえ、改めてビジネスインパクトについて教えていただけますか。

先ほど車内で購買が8件発生した件はお話ししましたが、そのほかSNSの反響はチェックしていました。「ポケトークタクシーを見た」などのTwitterの投稿も確認でき、日に日に反響を感じていました。「Canvas」により乗車した方以外にも訴求できる点においても、非常に広告効果の高さを感じました。

▼計3種のクリエイティブ

私も含めて当社メンバーも乗車させていただきましたが、特別仕様であることから乗車した際のワクワク感や期待感が良いと思いました。ECサイトのセッション数を見ても、車内で情報に接触したことで購入意向が高まった方が一定数いるということが分かり、定量的にも良い効果があったと感じています。

定性的な効果に関しては、乗務員さんとポケトークを活用して会話をした方もいらっしゃったということで、実際に体験をしていただけたことが今回の施策において一番良かったと感じています。知ってもらう→体験してもらう→購入するという一連のカスタマージャーニーがタクシーの中だけで完結していたのは素晴らしかったと振り返っています。

またPR観点でもインバウンド回復が世の中で注目されていたタイミングだったこともあり、テレビやラジオ、新聞など各種メディアに「ポケトークタクシー」を取り上げていただけました。取り組み自体の新しさと時流にあった施策により、このようなメディア露出に繋がったのではないかと思っています。メディア露出を狙う際に、新規性と時流に沿っていることがポイントだと思うのですが、我々のビジネスにおいても重要なことだと考えています。ですので、今回の取り組みに関しては、今後ポケトーク社としてこういった取り組みを増やしていくんだという一つのベンチマークができたと感じています。

▼産経ニュース 掲載記事
https://www.sankei.com/article/20230411-MI3VSF54RVB5PGVX6SKMOCWIY4/

▼日本経済新聞 掲載記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC317DJ0R30C23A3000000/

タクシーの乗務員もそうだと思うのですが、今日本全体で人口の減少が問題になっています。それに伴いあらゆる産業で働き手不足が課題になっており、特に外国語が使えるスタッフの方を採用するのはとても大変だという声をよく耳にします。コロナ前には多くいた外国人スタッフの方々に関しても、感染拡大により帰国を余儀なくされた方も多く、日本全体で社会問題になっていることは周知の事実だと思います。
タクシーにおいても同様に課題が少なからずあるのではないかと考えており、あらゆる環境において、「言葉の壁」をなくしていきたいと考えています。そういった意味合いでも、今回タクシーに「ポケトーク」を設置するという取り組みは意義があったのではないかと感じています。

今回の取り組みで拘った点や工夫した点があれば教えてください。

マーケティング観点でも面白いと感じていたのは、タクシーアプリ「S.RIDE」のアプリ上にさんまさんのアイコンが表示され、配車ができる点です。基本の“き”ではありますが、人の目に留まるということは非常に重要で、アプリ上にさんまさんのアイコンが表示されたら「なんだろう」と興味を持つ方もいると思います。「S.RIDE」のアプリ内でもユーザーに訴求できるという点が非常に良かったと思っています。

▼「ポケトークタクシー」配車画面

また今回はCM動画だけでなく、ポケトークの説明や体験型の静止画も交えて放映コンテンツの設計ができたので、より商品の理解や購買意欲の向上に繋がったのではないかと感じています。CM動画だけを流したケースと比較し、理解度が全然異なると思います。

▼翻訳体験コンテンツ

あとはやはり購入導線の設置です。買いたいと思ったときに買える手段があることが非常に重要だと考えています。人はいいなと思ったときに買えないと忘れてしまうことが多いので。先ほどもお話ししましたが、認知から理解、購買までのカスタマージャーニーが完結していたことが良い結果に繋がったと思います。

今後タクシー広告で挑戦したいことや媒体に期待することがあれば教えてください。

繰り返しになりますが、今回の取り組みを通して広告面としてだけでない、タクシー広告のポテンシャルを非常に見出すことができたと思っています。タクシー広告はアッパーファネル層への認知施策で活用されるイメージがありますが、ミドルやローワーファネルまで広げていけるというのは非常に可能性が広がったと評価しています。新しい販売チャネルの一つとして検討しても良いくらいに思っています。今後のアイディアとして、タクシー運転手の方の委託販売も面白いのではないでしょうか。体験する空間としてもタクシー車内は非常に秀逸で環境が良いと思うので、引き続きいろいろな施策をご一緒できればと思っています。

貴重なお話をありがとうございました。
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